冬の丹沢・蛭ヶ岳(神奈川県)で遭難未遂 旦那とはぐれて

2017年11月1日

はじめに 丹沢・蛭ヶ岳で危うく遭難 きっかけはちょっとした勘違い

真冬ともいえる1月の終わりごろ、私たち夫婦は丹沢の蛭が岳へ避難小屋または山小屋泊の計画で、雪山登山を楽しみに行きました。ちょっとした勘違いから、二人ははぐれてしまい、危うく遭難するところでした。

基本装備はもちろん、救急用品やマッチ・ロウソクや細引きなどの基本的なエマージェンシーツールは常に携行しています。

ビバークや避難小屋使用の可能性も考え、冬用の装備も万全にしていました。簡易アイゼン、12本爪アイゼン、ストック、防寒用具、ツエルト、濡れた時の凍傷に備えて着替えやタオル等も圧縮袋に入れて用意していました。

バスで焼山登山口に入り、黍殻避難小屋を経て姫次、蛭ヶ岳山荘で一泊し、丹沢三峯登山口に下山するコースを計画していました。雪のない時期ですと、早くて6時間~8時間の日帰りできるコースタイムです。そこを、無理せず楽しむつもりでした。

旦那は登山歴30年位で元登山部のプロなので、いつも彼の言う事を聞いて行動します。いつも通り、指示通りにしているつもりでしたが、体力不足により雪に足を取られて疲れてしまい、私はしきりに「疲れた」「休みたい」とぼやいていました。

「姫次まではがんばろうね」と何度も諭されました。焼山と黍殻山を越え、ちょうど太平分岐の辺りでの事です。

丹沢・蛭ヶ岳 簡単な登山のはずが・・・

「休みたい」とあまり私がぼやくので、旦那が「もうすぐ避難小屋だから、そこでおいしいもの食べようか」と言ってくれたので嬉しくて早く歩いてしまいました。

その時、旦那が足に履いていたスノーシューが取れてしまい付け直していました。私は、「先に行ってるよ」と言い、先に避難小屋に行ってしまいました。そしてそのあと旦那とはぐれてしまいました。

私は疲れておなかも空いていて、早く休みたかったので避難小屋で休みながら旦那が到着するのを待っていました。

小屋は登山道から下に少し降りたところにあるので、ぱっと見では人がいるかわかりません。そして、大声を上げても雪でかき消されてしまうのです。

旦那は、小屋に向かって大きな声で私を呼んだそうですが、小屋の中にいた私は全く気づきませんでした。先に行っていると思い、旦那は急いで私と合流するために去ってしまったそうです。

私は、スノーシューの雪を払い、防寒着を着て旦那の食料も用意して待っていました。30分ほどして、さすがに遅いなと思い、滑落してしまったのでは?はぐれてしまったのかしら?と考え、大きな声で名前を呼びながら周囲を探しました。

登山道を戻るにも、私はルートや計画は全て旦那任せだったため、戻ってからの帰り方も分かりません。「姫次まではがんばろうね」という旦那の言っていたことを思い出し、そこに旦那がいる可能性が高いと思い、ルートを戻らずに走って叫びながら進みました。

もし、姫次で会えなければ避難小屋に帰ってこようと考えていました。途中、叫びすぎてのどが痛くなりましたが、すべて雪にかき消されました。姫次に着くと、疲れ切った旦那がいました。

同じように走りながら叫んでいたとのことです。疲れていましたが、会えたので予約していた蛭ヶ岳山荘へ向かいました。

普段は体力のある旦那が、この騒動で疲労困憊のためシャリバテし、ゼリー飲料位しかのどを通らなくなってしまいました。そのため早く進むことができず、山小屋の到着も18時近くなってしまいました。

この遭難(未遂)は、どうすれば防げたか

私は先に避難小屋へ行って待っているつもりだったのに、旦那は私が先に進んでいると思いはぐれてしまいました。

また、計画や準備を旦那任せにしていたため緊急時の行動が思いつかず遅れてしまいました。

まず、一人では何もできないのに、旦那から離れてはいけませんでした。離れるにしろ、必ず目の届く範囲内にすべきでした。

また、ルートや計画を覚えようとせず、人任せにしていたのはかなりのリスクだったと思います。

雪の登山道は、道を誤るリスクも高いので、慣れない人が油断すればあっという間に遭難します。この日は良い天気で立て看板がよく見え、トレースもあったので姫次で合流できましたが・・・。

どう行動するかわからない初心者とはぐれることは、同伴している能力の高いベテラン登山者にも強く精神的・体力的負担をかけます。

今回の出来事から、はぐれない・リスクを減らす努力をする、という教訓を得ました。