瑞牆山で遭難未遂(山梨県)上下左右からの落雷の中を強行下山
山梨県の瑞牆山(みずがきやま)で遭難未遂 助かったのは運が良かっただけ
季節は秋の始まり、9月の頭でした。甲斐、多摩、秩父国立公園に属する瑞牆山へは仲良し3人パーティで登りました。
まだまだ日中は暑くなることを想定していました。日帰り登山の下山時、最後の1時間に激しい雷雨に見舞われ遭難しかけました。
日帰り登山だったので、かなり身軽な装備でしたが、水分、地図、雨具、ストーブ、ヘッドライトなどの必須携行装備は持参していました。
また腕時計には簡易の気圧傾向表示機能が付いていましたが、これが夏季の登山で起こりうる雷雨などの突然の気圧変化や天候悪化に備えて、どのように活用できるかという点までは精通していませんでした。
これは大きな反省点です。
コースタイムを上回り瑞牆山山頂へ
瑞牆山へは、芝生広場から林道を歩き、林道終点から登山道に入り不動の滝、瑞牆山山頂、富士見平小屋を経由してもう一度林道に入り芝生広場に戻る周回コースでした、休憩時間を含めて全体で7-8時間の予定タイムでした。
当日、登山開始時、天候は多少雲が出ていたものの晴れ、風もなく順調な歩き出しでした。ただ不動の滝までの単調な登山道、山頂手前の急登で予想以上に時間と体力を消耗しコースタイムを上回ってしまっていました。
そのため、下山時間が遅れ、最後の林道部分で雷雨というアクシデントに遭遇して、危うく遭難し、命を落とすところでした。
失敗の最大の原因とは
最大の原因は、午前の休憩時すでに遠くに聞こえていた雷鳴をさして気に留めなかったこと、山頂到着時には下からガスがかなり湧いていて天候悪化の兆しがハッキリしていたにもかかわらず下山を急がなかったことです。
また、パーティに女性がいたにもかかわらず比較的長めのコースタイムを設定していたことも雷鳴が発生しやすい時間帯に下山となってしまったことの一因です。
横からも下からも襲いかかる瑞牆山の雷
下山を開始したころには、あたりはすっかりガスに覆われていて、近い感じはないものの断続的に雷鳴が聞こえていました。
小雨も降り始めましたが、それでもあまり危機感を感じずに下山を続けました。ところが林道に出るころには激しい豪雨にかわり、雷の頻度、近さも格段に上がっていました。
樹林帯から林道に出たとたん、身を覆うものがない状態に初めて危機感を感じました。小走りで林道から駐車場のある芝生広場へ向かいましたが、その頃には雷が上からだけではなく、横や下からも響いている感じがありました。
近くに雷が何度も落ちた感覚を受け、その度に全員で地面に体を伏せました。地響きのように地面が振動していたことを覚えています。
いつ、自分たちに雷が直撃してもおかしくない状況の中、駐車場に向かい走り続けました。十数秒間に一度、激しい落雷があり、その間を縫って走り続けました。
なんとか駐車場にたどり着きましたが、車は私たちの車だけで、だだっ広い駐車場を落雷の危険の中、車まで走らなければならず本当に危険な状況でした。
なんとか車に乗り込み、ずぶ濡れのまま、麓へと車を走らせ10分ほど走ったところでようやく雷雨を抜けました。振り返ると瑞牆山全体が雲に包まれ稲光が断続的に生じていました。
この遭難(未遂)はどうすれば防げたか
予定を組む時点で雷雨の発生しやすい時期であったことを全員がより強く思いに留めておく必要がありました。
なおかつ、お昼前の時点で遠くに雷鳴が聞こえていたので天気が崩れることを簡単に予想できたものの、登頂を優先する傾向が全員にあったことは反省すべき点です。もし初めに雷を聞いた時点で引き返していれば命を危険に晒すようなことはなかったはずです。
アドバイスとしては雷雨の中、林道や駐車場を駆け抜ける行為はとても危険です。私たちの場合、すでに迷う心配のない位置まで来ていたので、たとえ暗くなる心配があったとしても林道脇の落雷の危険のない場所に身を隠し、雷雨が過ぎるのを待つべきだったと思います。
体験者 神奈川県 Nさん 女性
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